News & Topicsニュース・トピックス

2022.04.22

東京大学と日本財団による海洋プラスチックごみ対策共同事業記者発表会(2022/4/19)


2022年4月19日(火)14時から,東京大学伊藤国際学術研究センター(本郷キャンパス)の伊藤謝恩ホールにて,「日本財団FSI基金による海洋ごみ対策プロジェクト(2019-2021)」の主要成果について,記者発表会が行われた。同時に,本プロジェクトが今後3年間,新たなフェーズで開始したことも報告された。


 本プロジェクトは下記の3つの主要テーマについて,大気海洋研究所を事務局とし,学内(工学系研究科,薬学系研究科,農学生命科学研究科,新領域創成科学研究科,公共政策大学院,生産技術研究所,未来ビジョンセンター)と,東京農工大学,京都大学の分野横断型の研究チームで取り組んでいる。
 1.海洋マイクロプラスチックに関わる実態把握
 2.マイクロプラスチックの生体影響評価
 3.プラスチックごみ発生フローの解明と削減・管理方策の検討

 発表会にあたり,笹川陽平日本財団会長と藤井輝夫東京大学総長の挨拶があった。笹川会長から,海洋環境の変調を危惧しており,そのための人材育成など様々に日本財団が取り組んでいること,プラスチック汚染の解決に向けたルールづくりには基本的な研究が欠かせないと述べた。藤井総長からは,海はまさにグローバルコモンズであり,その海を次の世代に手渡していかなければならないという責任への言及があった。両氏ともに,プラスチック汚染を含む海洋環境の劣化に対する危惧と次世代へのために今動かなければならないという共通の認識を示した印象であった。

20220419_FSI_1.png

 海野光行日本財団常務理事から,プロジェクト全体像について説明があり,続いて,道田豊教授・研究プロジェクト統括(大気海洋研究所)から研究成果の総括的説明があった。道田教授からは,覚悟を決めてプラスチック削減に取り組む必要があるとの発言があった(右図,道田研究プロジェクト統括)。
 その後,各研究テーマの代表者(津田敦教授・副学長(大気海洋研究所),楠原洋之教授(薬学系研究科),井上広滋教授(大気海洋研究所),浅利美鈴准教授(京都大学地球環境学堂))からより詳しい総評があった。

 ここまでの成果で,プラスチックの粒子の大きさや種類によって,その輸送などの過程や経年劣化の様相が異なる可能性が示された。このことは,プラスチックの性質によって環境負荷を軽減させることのできる製品開発や使用方法に有益な情報を提示できる可能性がある。

20220419_FSI_2.png

また,海洋生物を含む生体への影響は未解明ながら,体内に取り込まれることはわかっており,長期的な影響評価が必要である。今年度からはこれらの研究を強化することに加え,自治体等との連携したプラスチックごみ削減の社会実装,海外との連携を進めて行く方向性が示された。

 一連の成果説明の後で記念撮影が行われた(左から,浅利准教授(京都大学),津田教授・副学長(大気海洋研究所),藤井総長,笹川会長,海野常務理事)。この後,質疑応答で終了したが,その後も記者による個別の取材があり,終了時間は予定を1時間近く超過した。

(文責:野村英明)


FSI基金:東京大学が設置した「未来社会協創基金(FSI:Future Society Initiative Fund)」
詳しくはこちらをご覧ください:https://www.u-tokyo.ac.jp/adm/fsi/ja/index.html

東京大学ホームページ記事(2022/4/25)
東京大学×日本財団 研究成果の発表 海洋プラスチックごみ対策事業
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/articles/z0801_00066.html

日本財団ホームページ記事(2022/4/27)
日本財団x東京大学 海洋プラごみ対策事業
https://www.nippon-foundation.or.jp/who/news/information/2022/20220427-70386.html