Columns & Reportsコラム・レポート

2020.05.11

荒川クリーンエイド・フォーラムの2019年度報告会に行ってきました(2020/2/27)

2020年2月27日、北区王子駅近くの「北とぴあ第一研修室」で開催された荒川クリーンエイド・フォーラムの2019年度報告会に参加しました。荒川は1930年に作られた人工の放水路ですが、今は河川敷に野球場や散策できる道路が整備され、すっかり住民生活に溶け込んでいます。

荒川クリーンエイド・フォーラムのホームページ(2020年3月6日閲覧)によれば、荒川クリーンエイドとは1994年の放水路通水70周年を記念した一斉清掃から始まった活動です。1995年には、地元の団体を中心に荒川クリーンエイド事務局が設立され、1997年には任意団体荒川クリーンエイド・フォーラムが発足して、1999年からNPO法人として活動しています。2003年以降は荒川の上流から下流まで、年間を通じて清掃イベントが開催されています。

2019年度の報告会は新型コロナウイルス感染症が心配される中での開催ということもあり、のど飴やマスクが手渡され、懇親会は中止でした。まずは開会の挨拶が理事/事務局長の今村和志さんからあり、続いて来賓として国土交通省関東地方整備局荒川下流河川事務所管理課長の淺野貴浩さんから挨拶がありました。「今年は台風が多く、泥が多量な現場に出て、本当に活動の大変さがよくわかった。26年続く活動に敬意を表します。」そのあと参加者全員が自己紹介をしました。

活動報告では、2019年度の参加団体数(市民団体33、企業57、行政7など)、延参加者数(11673人)や、ゴミの種類や数、参加人数やゴミ拾いイベントの実施回数の経年推移などの説明が、資料のデータに沿って行われました。台風の影響で墨田区八広の荒川河川敷はゴミ散乱がひどかったこと、江戸川区にあるフォーラム事務局も浸水したこと、17のイベントが台風で中止になったことが報告された。また、新型コロナウイルス感染症で、この後の春に向けてのイベントが中止になることが予想されるとのことでした。明るい話題として、金融系の寄付団体Financial Industry in Tokyo(FIT) For Charity Runかの寄付先の一つに選ばれたこと、さらに、環境省と日本財団から「海ごみゼロアワード」の最優秀賞を受けたことが報告されました。

その後、荒川クリーンエイド2019功労賞および継続年数表彰の授与式があり、散乱ごみ回収量1位(1,087袋)/粗大ごみ回収数 1位(335個)の"Tokyo River Friends"や、散乱ごみ回収量 2位(244袋)の"コスモアースコンシャスアクト・クリーンキャンペーンin Tokyo"ほかが、副代表理事の林美恵子さんから賞状を受け取りました。

講演が2題続き、最初は一般社団法人ピリカ/(株)ピリカの研究員、三輪芳和さんから、スマホアプリを使ったゴミ回収活動や、スマホアプリの動画機能を使って、ゴミの分布状況をAIとGPSで地図上に視覚化することで、例えば行政事業の計画や評価を行なった実例、さらに開発したマイクロプラスチック採集機で河川を調査したところ、河川のマイクロプラスチックの4割が人工芝の破片や農業、特に水田稲作用に使われているプラスチックコーティング肥料のカプセルであることがわかったといった報告がありました。

続いて理事/事務局長の今村和志さんから、河川や海洋ゴミに関する最近発表された論文や国内外での関連情報の解説がありました。その後、新型コロナウイルス感染省に注意を払って密集しないよう広がって、参加者全員の記念撮影を行った。最後に、代表理事の高山亮さんから閉会の挨拶があり、会は終了。

今回の参加者には市民団体が多いのはもちろんですが、区役所のゴミ拾いボランティア、CSR活動やSDGsへの取り組みをしている多様な企業、さらには環境教育に関わる学生団体など、荒川クーンアップ・フォーラムが多様な組織で構成されていることがわかりました。また、東京を拠点とするマスコミ、さらには重化学工業会や日本プラスチック工業連盟まで、非常に幅広い人々の参画に驚きました。行政との強い連携は、四半世紀にわたる活動の蓄積を感じさせます。こうした取り組みが日本の多くの河川の流域に広がることが大切です。

(文責:海洋プラスチック研究事務局 野村英明)