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2024.09.10

【プレスリリース】培養小腸モデルを用いた異なる大きさのマイクロナノプラスチックの人体への取り込み

 本プロジェクトのテーマ2「海洋マイクロプラスチックの生態影響評価」の中から,東京大学大学院工学系研究科の酒井教授,チェ特任助教,金子対学院生らの研究グループによる研究成果「培養小腸モデルを用いた異なる大きさのマイクロナノプラスチックの人体への取り込み」が,工学系研究科のホームページに掲載されました。


概要(工学系研究科のホームページから抜粋)

 東京大学大学院工学系研究科の酒井康行教授,チェヒュンジン特任助教,金子昌平大学院生らによる研究グループは,生体を模した高度な培養小腸モデルを用いてマイクロナノプラスチック(MNP)の人体取り込み評価を実施しました。その結果,今まで必ずしも明確ではなかった異なる大きさのMNP粒子の人体への取り込みと小腸のさまざまな細胞の寄与が系統的に明らかになりました。
 本成果は,バクテリアと同程度の大きさの粒子取り込みには,生体防御のためのバクテリア認識機構が大きく寄与すること,小腸内表面を覆う粘液は取り込み抑制に大きく役立っていることを示しています。
 人体に取り込まれたMNPは,分解されず排泄も難しいため徐々に蓄積されます。長期に渡る人体への影響を予測することは非常に困難ですが,今後,人体での実計測結果,高度な培養組織モデル,適切な数理シミュレーションの融合によりその予測性を向上できると期待されます。
 本研究成果は,2024年9月2日付で国際科学雑誌「Nanomaterials」にオンライン掲載されました。

詳細は下記からご覧ください。

2024/9/10
培養小腸モデルを用いた異なる大きさのマイクロナノプラスチックの人体への取り込み
https://www.t.u-tokyo.ac.jp/press/pr2024-09-10-001

論文

Choi, HJ, S Kaneko, Y Suzuki, K Inamura, M Nishikawa & Y Sakai (2024)
Size-dependent internalization of microplastics and nanoplastics using in vitro model of the human intestine--Contribution of each cell in the tri-culture models.
Nanomaterials, 14, 1435.
https://www.mdpi.com/2079-4991/14/17/1435