横浜・野島公園でマイクロプラスチック採集しました(2020/10/31)
2020年10月31日(土),横浜の野島公園で市民ボランティア団体「海をつくる会」による毎月恒例の海岸清掃に参加。今回は,東京農工大学の高田秀重教授の研究室に提供するマイクロプラスチック採集も行われました。
今回,ゴミの量は少なめ。最近では近隣住民の方も個人的に掃除をされているとのことですから,そのためかもしれません。それでも13時に開始して約1時間にかなりのゴミが集まりました。海岸清掃では自然物以外の様々なゴミ,缶やビンなどを拾い集めますが,全体を見渡してみると,プラスチック製品のゴミが多いことは一目瞭然です。これらを分別した後で,それぞれの重量を図り,データにしていきます。今回は14人で41kgのゴミを拾い集め,これを回収に回して作業は終了です。
ゴミの分類は基本的にはJEAN(Japan Environmental Action Network)が使用している分別リストに記入していく方式を採っています。このリストはこれまでの長年の経験で更新され続けて今に至っているのだと考えられますが,分類項目の数はプラスチック製品の割合が大きいです。このことはJEANが取りまとめている日本全体のクリーンアップキャンペーン(*1)の年度ごとの報告をみるとよくわかります。
さて,今回は化学分析に用いるマイクロプラスチックの採集を行いました。まずは縦長の画像の一番上をよくみてください。砂浜の様子です。散らばるマイクロプラスチックの多いことがよくわかると思います。野島公園のビーチの高潮線のあたりは濃淡はあってもだいたいどこでも同じように貝殻の破片に混じって,プラスチック片やレジンペレットがあります。野島公園の対象となっている砂浜は長さにして50 mほどですが,ここにある全てのプラスチック片(あるいはマイクロプラスチック)を取り除くことはほぼ無理でしょう。少なくとも人力や現在の技術では。それほど数量的にはたくさんあります。
さて,マイクロプラスチックの採集は,一定の方形枠を浜に設置します。これは感覚的においていきます。同じ面積の場所5カ所の深さ2 cmの小石や貝殻片の混ざった砂を金属のシャベルで慎重に取り,金属の2 mmふるいでふるって残ったものを全て金属のバットにあけていきます。そしてその中からプラスチックだけを目視で拾っていき,最後は金属のサンプル缶に入れて試料にします。使う用具が金属なのは,化学分析用の試料なので分析誤差となるような化学物質の混入がないようにするため,できるだけ他のプラスチックと触れさせてないようにするためです。ただ,目視で拾っていくときはカッティングマットにあけているので,その点は誤差となってしまいますが,常に同じ工程でやっていけば,その誤差は差し引きできると考えられます。
縦長の画像の一番下は,5カ所の方形枠内のマイクロプラスチックを2名で集めたものです。もちろん取りこぼしもあるかもしれませんが,これだけのマイクロプラスチックが採集されました。緑色のものの多くはゴルフの打ちっ放しなどでよく見かける人工芝の破片ですが,金属ピンセットで拾っていると,理由はわかりませんがピン先にくっついてきて作業の手間になります。海中にあるときに有機物がつきやすいのでしょうか。レジンペレットも新しいものから劣化したものまでたくさんあることがわかると思います。
皆さんも是非,海に行ったら目を凝らして,どんなマイクロプラスチックがあるか見てください。本当にたくさんあることがわかってもらえると思います。
(文責: 野村英明)
<著者注>
*1) 国際クリーンアップキャンペーン
JEANの年度別成果報告
JEANについて
海洋プラスチック研究事務局関連の記事