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Research研究内容
ACT I. 海洋プラスチックごみ問題に対する科学的知見充実
テーマ2. マイクロプラスチック生体影響評価
2-2.食物連鎖の中でのプラスチック関連物質の挙動,遺伝子応答
食物連鎖の中でのプラスチック関連物質の挙動,遺伝子応答
日本沿岸に広く分布するムラサキイガイを使ってマイクロプラスチック(MP)の取り込みを調べる実験系を確立しました(図2-2-1,2-2-2)。
この実験系を用いて,MPを模してPS製のビーズ粒子を与えたところ,粒子のサイズによって体内残留時間などが異なることが判明しました(図2-2-3)。すなわち,直径1,10,90µmの粒子を取り込ませ,その排出を40日間調べると,90µmの粒子は,平均残留時間は長いものの最終的にすべて排出されるのに対し,1µmの粒子は,平均残留時間は短いものの少数の粒子が体内に長期間残存し続けることがわかりました。さらに,ムラサキイガイにPE単体とPE製のビーズにPCBを吸着させた粒子をそれぞれ与えて,現在遺伝子解析を行なっています。この解析により,MPが海洋生物に及ぼす未知の影響が明らかになりつつあります。
研究対象は魚類にも拡げています。海水魚のモデルであるジャワメダカ(図2-2-4)を使った実験から,濾過摂餌をしない魚種でも粒子を取り込み,淡水中よりも海水中で取り込みがより活発であることがわかってきました(図2-2-5)。今後ジャワメダカを用いて,MPがどのような影響を及ぼすのかを遺伝子レベルで調べていきます。そのために必要な全ゲノム配列の解読や,遺伝子ノックアウト技術の確立もすでに完了しています。
研究内容
ACTⅠ. 海洋プラスチックごみの科学的知見の充実
テーマ1. 海洋マイクロプラスチックの実態および挙動の把握
- 1-1. 海面から海底泥まで海洋空間でのマイクロプラスチックの動きを追跡・調査する
- 1-2. マイクロプラスチックの動きを現場データと数値実験モデルによって明らかにする
- 1-3. 日本周辺海域70年間の海洋プラスチックごみ時系列変化:海洋プラスチックごみの歴史的変遷を明らかにする
テーマ 2. 海洋マイクロプラスチックの生体影響評価
- 2-1. 陸域から海域へのマイクロプラスチックの流出過程とMPに起因する化学的物理的生体影響
- 2-2. 食物連鎖の中でのプラスチック関連物質の挙動,遺伝子応答
- 2-3. プラスチックの細胞組織への導入機構と人体影響評価
テーマ 3. プラスチックごみ削減方策に関する総合的研究
テーマ 4. 第1フェーズまでの成果
ACTⅡ. 研究プラットフォームの構築および情報発信