Research研究内容

ACT I. 海洋プラスチックごみ問題に対する科学的知見充実
テーマ4.第1フェーズまでの成果

4-1.環境保全に取り組む市民の行動原理と環境意識

環境保全に取り組む市民の行動原理と環境意識

海洋環境保全を実践する人々の行動原理を解明し,プラスチックゴミを清掃する市民や排出削減に取り組む市民がそれを行う動機を理解することで,そうした原理を織り込んだプラスチック削減の良い方策を生み出すことができそうです。そこで個人が有する自然観とプラスチック問題への対応の相関を知るために,食料品の買い物と海のプラスチックごみ問題に関する質問票調査を202010月に国内で実施しました。エコバッグの使用回数は,水産物の消費頻度と相関があり,水産物を週に45回以上消費している層はエコバッグの使用頻度が有意に高い関係にありました。一方,自然環境との心理的位置関係(自己の生活環境が自然環境の一部か,接するか,つながりがないかの3つの関係)とエコバッグの使用頻度は有意な相関関係がありませんでした。同じ調査で,自然環境からの連想を回答してもらった結果,自然環境との心理的距離が近い回答者ほど地球環境規模の環境問題を想起する傾向がありました。こうした調査を海外でも実施することで,環境意識と環境行動が国ごとに多様な場合は現場ごとの方策を,多様でない場合には共通の方策を用いて,プラスチック汚染への施策を検討しています。

図4-1-1:インドネシアのKampung Warna-Warniにて.左側手前の住宅の川辺にゴミがみえる.陸(Land-based)から川を通じてゴミが海に流される例.(撮影者 オスカー氏)
図4-1-2:沖縄の座間味海岸.外国製のペットボトルが漂着している.(撮影者 オスカー氏)